水力発電や火力発電に比べると、原子力発電は低コストで経済的であるとされている。これは真実なのだろうか?
実際に計算してみよう。1ドル124円の為替水準で考えると、原子力の発電コストは1kWh約9円、石炭・石油火力約10円、LNG火力約9円、水力約13円となる。火力発電は円高のメリットが大きいため、現在の為替水準で計算すれば、そのコストは下がるだろう。そして、上記のコストには“送電コスト”が含まれていない。遠隔地にある原発から送電線を引くことを考えると、原発のコストは思っているほど安くはないのである。
実は、原子力発電所というものはきわめて不安定な設備であるため、微小なトラブルであっても運転を停止させなければならない。その際に、代替となる発電所が必要となるが、この役割を担うのが火力発電所なのである。「地球温暖化対策として原発の推進を」と言うが、さて…。