「プルサーマル計画で使用する、いわゆる“商業用プルトニウム”は、原子炉で扱うためのものであり、原子爆弾への転用はできない」。日本には、未だにそう思っている専門家もいる。しかし、これは大きな誤りだ。そもそも、プルトニウム自体が非常に強い毒性を持っており、その毒性の強さは、人工的に合成された物質の中でも最高レベルにあると言って良い。ゆえに、プルトニウムは十分、原子爆弾の原料となり得るのだ。
プルサーマル計画の発案者であるアメリカ自身が、この計画を中止した意味を考え直すべきである。
プルサーマル計画が生まれた当初、ウラン資源の枯渇が叫ばれていたが、現在ではそれが間違いだったことが判明している。また、プルトニウムの再処理にかかるコストは、低濃縮ウラン燃料の10倍になるとも言われている。アメリカがプルサーマル計画を中止したにもかかわらず、日本では国の補助金によって、存続どころか推進が行われているのが現状だ。時代遅れな計画を推進することに、一体どれほどの意味があるのだろうか?