日本政府が推進する“プルサーマル計画”は、天然ウランの枯渇問題解消や、低濃縮ウラン燃料から回収したプルトニウムの再利用を目的としている。政府は余剰プルトニウムの減量を名目に、電力会社に対して“MOX燃料”の使用を半ば強制している。このMOX燃料は、軽水炉型の原発で使われる予定となっているが、これは非常に危険なことである。なぜなら、軽水炉は“低濃縮ウラン”で動かすために開発されたものであり、MOX燃料の使用は想定されていないのだ。したがって、軽水炉でMOX燃料を使用すると、格納容器にまで至る大事故が起こる可能性が非常に高くなると考えられている。
前述の通り、MOX燃料使用による事故の影響はきわめて甚大であるが、この問題はこれまで議論にもされなかった。それはなぜか?「格納容器の破損事故は起こり得ない」という想定のもとで、政府が電力会社に対してMOX燃料の使用許可を出していたためである。したがって、電力会社も死傷者数や放射能による被害規模を想定する必要が無かったのだ。