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JCO臨界事故はなぜ起こったか

1999年9月、茨城県東海村で前代未聞の臨界事故が発生した。いわゆる、JCO臨界事故である。これはきわめて重大な事故であったが、その原因が非常にお粗末なものだった。

硝酸ウランの製造工程で発生したこの事故は、マニュアルから逸脱した作業を行ったことが原因であった。しかしこれは、作業員の質が低かった、という問題にとどまらないのである。作業者2名とその指導役は、ほぼ未経験と呼んでもいいような作業経験しかなかったことに加えて、彼らが参考にした“マニュアル”は、正規のものではなく、いわば“裏マニュアル”だったのだ。

このように、JCOや動燃といった組織全体が、仕事のみならず安全というものを軽視していたことが、この大事故を引き起こした何よりの原因なのである。

JCOと日本のエネルギー政策との関連性

日本政府も含め、原子力に携わる者の安全対策や危機管理が不十分であることが露呈したJCO臨界事件。政府は「JCO事故は国の原子力政策とは無関係」と述べているが、東海村のJCO施設で作られていたのは、プルサーマル計画の1つである“高速増殖炉”用の燃料だったのである。「無関係」ということはあり得ない。