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40年以上も隠蔽されていた事故評価報告書

1960年、当時の科学技術庁の委託を受け、電力会社などが加入する原子力産業会議が、「最悪のケースの事故評価」を行い、報告書にまとめた。「大型原子炉の事故の理論的可能性および公衆被害額に関する試算」である。しかし、この報告書は40年近くも秘匿扱いであった。なぜか?その数値があまりに衝撃的なものだったからだ。しかも、まさに“事故の核心部分”を問題提起しているのである。

被害規模なども、きわめて真に迫る値であったのには大きな理由がある。これらの数値は、電力会社に代わり国が損害補償を支払う「原賠法」のために計算されたもの、つまり、電力会社の負担から外れる部分を規定する根拠となる値であったため、粉飾をする必要性が無かったのだ。

この報告書に欠けていた「ある想定」とは?

この報告書にある、被曝線量をもとにした急性障害による死者数・障害者数は、約30年後に試算されたものとほぼ変わらない。しかし、この報告書には “晩発性ガンによる死亡”に関する記述が欠落している。当時はまだ、晩発性ガンに関する十分なデータが無かったためだ。とは言え、「データ不足のため、報告書に盛り込むことができなかった」と正直に述べている点は評価に値するだろう。